最近では、働き方がコロナ前のように戻ってきている会社さんも多く、リモートワークという柔軟性が再び失われているということで、社員が辞めてしまうという現状がすごくあって、(人材業界にいると)人材の流動性が高まっているというのはすごく感じます。
ただ一方で、管理者・マネジメント側からすると、目の前で働いている方が安心感もあるし、評価もしやすいしと、自分も会社をやっているのでそう思うんですね。ただ、その結果、社員のパフォーマンスが落ちてしまったら何の意味もないので、ある程度柔軟性は持たせなければいけないと考えてはいるんですが、そのあたりの自由と責任のバランスをとるために、バルクホールディングスさんが経営的にも制度的にも工夫されているところはありますか?
そうですね。採用や働き方は個社・個人の判断に任せているところも往々にあるのですが、人事の制度としては、今年度から評価制度をグループで統一のものを導入したんですよ。今、取り組んでいる仕事や目標、目標に対するプロセスというのを見える化しているんですね。まだ、運用を始めたばかりですので、成果としては今後出てくるかなと思うんですけど、すでに肯定的な意見を多くの社員の方々からいただいております。
なるほど、ありがとうございます。
石原さんは経営者としてどのように考えていらっしゃいますか?
難しいところですね。柔軟性を持てば持つほどルール設定も大変になってくるし、バランスを取らなければいけない部分なので、その辺りをどれだけ議論できるかとか、あらゆる要素を検討したうえで最適なものを目指していかなければと思いますね。評価というのは、個々の仕事・生活に直結しますし、モチベーションにも絡んでくるところなので、いかに公平で努力した分返ってくる制度を考えるかというのは非常に重要なことですよね。
なるほど。お話を聞いて、私の今までの経験上、評価制度を整えずに働き方だけ多様にしてしまうと、失敗する会社が本当に多いなと思っていました。やっぱり、旧来の評価制度だと基準に透明性がなかったり、なんとなく評価者の主観で決まってしまったりするんですね。そうではなくて、初めから明確な基準と透明性がある中で結果につながっているかどうかの判断だけであれば、働き方がどうであれ、合理的に評価できると思うんですね。オフィスにくることでパフォーマンスが上がる人は来て、ある程度フレキシブルな方が良い人はそちらで働いてという形で。そこで問題になってくるのは、制度に、ああ、楽だって言ってフリーライドしてくる人ですが、制度がしっかり整っていれば会社の中での評価が悪くなっていくので、非常に合理的ですよね。
弊社では、LGBTや障害をお持ちの方など多様な方が働いていて、SDGsやダイバーシティに取り組んでいるので自分の時空が強くなってしまう方もいらっしゃって、特に私たちは自分らしさと自分勝手は分けてくださいと伝えているんですね。
例えば、髪の色は派手でアロハシャツにビーチサンダルで営業職の面接に行き、落とされると、なぜ自分らしい姿で行ったのに認めてくれないのかというのは違いますよね。能力や経験ではなく、会社の売り上げに直結する部分の配慮が足りないということで落とされているのに、それを自分がLGBTの特性を持っているからだと考えてしまう人もいて、そのあたりの線引きも悩んでいる会社さんやマネジメント層の方って多いんですよね。
バルクホールディングスさんではその線引きについてなにか考えていることってございますか?
私はHR推進部で人事・採用の責任者としての側面からお話ししますと、私自身は面接の時にそこまでの(今お話ししたような)個性を見せる必要はないのかなと考えています。なぜなら、(面接で)見せていただきたいのは、その人自身の人となりや取り組んできたこと、資格など仕事で発揮する能力であって、そこが一番重要視したい部分なんです。なので、もちろん見た目だけで判断したくはないんですけど、視覚から入ってくる情報がマイナスですと、そのあとのプラスの部分が入ってきづらくなるのかなとも思います。
やっぱりそうですよね。どれだけお話がうまく営業としてほしいなと思っても、清潔感が無いだとか、そういった部分がマイナスになってしまうことって絶対あるんですよね。一方でその方の人種や国籍、セクシャリティなどは仕事と関係ないので、そこは人事・採用担当の方の理解が深まっていってほしいですね。
ですので、ダイバーシティ推進というのはしっかり発信して、そのうえであなたのバックグラウンドではなく、単純な仕事能力、人となりをみて判断しますよというところを見せていくことが重要かなと思いますね。